自賠責保険と労災保険の後遺障害等級認定及び症状固定

質問:1あなた又はご家族及び知人の方で後遺障害の等級が自賠責と労災で違うケースがあり                    ましたか。

答:①あった,②なかった,③知らなかった

   答①はQ1へ

   答②,③はQ2へ

 Q1:自賠責と労災では後遺障害の等級認定が違うことにご不満ですか。

 A:ご不満にことと思います。自賠責保険と労災保険で後遺障害の等級が違うことがありま           すので,以下の項目をチエックしてください。

(具体的事例として)

「頸椎捻挫の後遺障害後遺障害として労災保険では14級の9が認定されたが,自賠責では後     遺障害は非該当となった。」

 答:①の方は:❶弁護士費用特約ある,❷弁護士費用特約なし,❸不明

 答:❶の方は弁護士に相談してください,自賠責の後遺障害の異議申し立ての

   サポートをして自賠責の適正等級認定を取るための努力をいたします。

 答:❷に方は弁護士に一度ご相談ください。

 答:❸の方は弁護士費用特約があるかどうか確認の上,弁護士にご相談ください。

  ❶,❷,❸の方は自賠責の後遺障害等級が認められたならば賠償額がかなり大きくなる可        能性があります。

Q2:自賠責と労災で等級が違うケースがあった場合にどうしたらよいですか。また,なぜ違           うことがあるのですか。

A:違う場合は弁護士にご相談ください。違う理由は下記の通りです。

自賠責保険の後遺障害の等級認定は,原則としては労災保険の後遺障害等級認定基準に準じて行うこととされています。

労災保険の趣旨は労働者の労働能力の補償をする観点で後遺障害等級を認定しています。

一方,自賠責保険は,被害者と加害者間の公正な損害賠償額を意図して,損害賠償における適正な賠償と言う観点から後遺障害を認定しています。

認定する組織も,労災は労働基準監督署であり,自賠責は自賠責損害調査事務所で互いに独立した認定機関です。

以上のような事情から,現実には労災の後遺障害等級と自賠責の後遺障害等級が相違することがあります。

一般的な傾向ですが,後遺障害等級の認定について労災保険より自賠責保険は厳格です。

これは,両保険の制度及び趣旨から発生している部分が大きいと判断されます。

質問:2 私は治療中であるのに保険会社から「症状固定」だと言われましたが、
          「症状固定」のことについて説明してください。

回答 症状固定の考え方は3つあります。

①傷害による損害と後遺障害による損害の計算に区切りをつけるためです。

②後遺障害の損害を計算する基準日となります。

③後遺障害の損害の時効の起算日となります。

「症状固定日」を具体的に説明します。

  • 症状固定は後遺障害の前提となりますので後遺障害の規定を述べます。

    イ 労災(労災・障害認定必携)

      負傷又は疾病がなおったときに残存する当該傷病と相当因果関係を有し,

  •       かつ,将来においても回復が困難と見込まれる障害。

    ロ 自賠法施行令2条

          傷害が治ったときに身体に存する障害をいう

     

    ここで「なおったとき」とは,傷病に対して行われる医学上一般に承認された治療法をもってしても,その効果が期待し得ない状態。

    平たく言えば,治療を続けてもそれ以上の改善が望まない状態のことを言います。

    一般的な損害賠償の範囲では,頸椎捻挫,腰椎捻挫では6か月程度の治療で症状固定と判断されています。 

    四肢の骨折などでは,骨折が骨癒合した後に痛みや関節の可動域制限の症状が変化しない状態に至った時に症状固定と判断されます。具体的には,6か月~1年程度です。

     

    ◎症状固定の概念は,医学的概念ではなく損害賠償算定上の法的概念です。このことから,医師が症状固定日を決めるものではありません。

    被害者と加害者が症状固定日について話し合いで決まらない時には,究極的には裁判において判断することになります。

 

 

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